先日開催されたアップルの”WWDC 2025“を観たユーチューバ−やブロガーさんたちが「今回の内容はなにもなかった、がっかりした」と挙って発信していますが、そうした発言は90% 事実を見誤った見解です。表面しか見ていない人たちの戯言です。

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そもそも”WWDC”は開発者向けのイベントなので、その基調講演は次期OSでアップルが提供する予定の機能や技術基盤などを大づかみで紹介する場です。ですので、開発に携わっていない人たちが、基調講演だけで技術的なアップデート内容の核心を読み解ける内容ではありません。そもそも、開発者以外の人たちが基調講演で何を期待していていたのか?、そこがボタンの掛け違いのポイントです。過去のWWDCでは、確かにハードウェアのアップデートを紹介する場面もありましたが、そうした年は逆にソフトウェアの目立ったアップデートがなかったからです。
今年、アップルが伝えたかった本当のメッセージは、基調講演に続いて公開される100を超えるセッションの中身にあります。仮に、ユーチューバ−やブロガーさんたちが、セッションの内容を把握したうえで、「つまらなかった」的な感想を発信しているんだとすれば話は別ですが、ま、そんなことはないと思います。
余談ですが、世の中の人たちは「アップルはAIで他社に遅れをとっている」と感じているんだと思います。確かに計画通りに開発が進んでいないのも事実だと思いますが、その大きな原因のひとつはセキュリティを如何に確保できるのかという大切な課題を後回しにしない結果、なかなか製品化に至らないんだと思います。では全く遅れているのかと言うとそうでもありません。今年のアップルは開発者が如何に開発負担を減らして作業を進められるかという点で、AIを取り込んだいくつかの具体的な製品化を実現しています。これらの成果は、周り回って、アプリを使うユーザにアプリの精度や安定性向上というかたちでフィードバックできるはずです。
とてもアバウトな表現にはなりますが、今年、アップルが開発者に伝えたかったことは、「確かに足踏み状態の部分もあるけど、今後10年、アップルと開発者が着実に成長することができるであろう各プラットホームの基盤をきっちり整備したので、開発者の皆さんはこれからも安心してアップル向けのソフトウェアを開発して下さい。」ということなんです。アプリを開発するうえで欠かせない開発ツールを全面的に見直し、不要なものと省きつつも、抜本的に強化しなくてはならない機能を今回目に見えるかたちで整備し、開発者に向けて提供を始めました。こうした取り組みは、開発者のみならず、ソフトウェアを利用するユーザさんたちにとっても、とっても大切なことだと思います。恐らく、他のIT企業では手付かずで膨大なコストがかかる取り組むを、今年のアップルは成し遂げたということだと思います。つまり、アップルが考える優先順位は、結局使われないかもしれない見た目の良いAI機能を披露することではなく、開発者とユーザがどれだけ将来に向けて安心できるか、いうことなんだと思います。
結局のところ、アップルのメッセージが凄すぎて、ユーチューバ−やブロガーさんたちには刺さらなかったわけですが、恐らく開発者たちにとっては涙が出るレベルで共感を覚えることができた内容ばかりだったと思います。まさに、地に足をつけた素晴らしい成果だと思っています。
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