このブログを運用しているサーバーをお名前.comの共用サーバーからレンタルサーバーに移行しました
このブログは、”お名前.com“の共有サーバーを借りて長年の間、運用してきました。
共有サーバーは、複数のユーザが1台の仮想サーバーをシェアして使っているので、時間帯などによってはレスポンスがとても遅くなることがあり、契約更新のタイミングに合わせて、別のサーバーに乗り換えたいなあと思っていました。(本当は昨年移行したかったのですが、契約更新のタイミングを逃してしまったため、今年再チャレンジとなりました。)
引っ越し先をいろいろ探してみた結果、同じ会社のサーバーの方がユーザサポートが手厚そうで、しかもコスト面でも現状より安い利用料にシフトできるという理由で、”お名前.com”のレンタルサーバーに移行することに決めました。レンタルサーバーは、1台の仮想サーバーを一人のユーザが専用で利用でき、ストレージもSSDということで、いままでよりも高速化を期待できます。
今回のTALKは、サーバーの引っ越しを細かく解説するのではなく、実際に作業してみて、これは事前に注意しておいた方が良さそう、というポイントをいくつか紹介します。それと、今回は”WordPress“のお引越しに限定します。
< かんたんお引越し機能は使えない! >
最近のレンタルサーバーでは、”WordPress”のかんたんお引越し機能を提供しています。
今回、”お名前.com”を含めて、いくつかのレンタルサーバーで提供している”WordPress”のかんたんお引越し機能を試してみましたが、いずれもエラーが発生してうまく移行できませんでした。
そんな状況のなかで、”お名前.com”のサポートにエラーの原因を問い合わせてみたところ、認証エラーが発生しているようだという回答。実際のところ、途中までは動作していたようなので認証エラーということは考えにくいのですが、結果的にはどのお引越し機能も不発に終わりました。だから必ず失敗するというわけでもないはずなので、お引越し機能に利用していたい場合は、お試し期間を設定しているレンタルサーバーで実際に試してみることをオススメします。
< 写真データの移行 >
“WordPress”サイトの構築については、多くのレンタルサーバーがほぼ全自動でコアな部分をセットアップしてくれるので、”WordPress”をゼロから構築するといった面倒はないと思います。
それよりも面倒なのが、”WordPress”サイト上のコンテンツの移行作業です。”WordPress”サイト上のコンテンツは、大きく分けると写真データ、データベースのデータになります。
そのうち、POOHの場合、”WordPress”の移行で一番時間がかかったのが、コンテンツに表示する膨大な写真データの移行でした。これは、サイトで扱うジャンルによっても状況に差があるので、FTPクライアントアプリ (macOSの場合は”Cyberduck”か”Transmit”辺りが定番アプリ)で、”WordPress”の”wp-content/uploads”というディレクトリの様子を確認しておくと良いと思います。
< データベースのデータ移行 >
さて、”WordPress”サイトのコンテンツ移行のなかでデータベースのデータ移行の難易度の強弱は、新旧レンタルサーバーが”phpMyAdmin“をコントロールパネル等で標準的に利用できるかどうかで大きな違いがあります。
POOHの場合は、移行先の”お名前.com”のレンタルサーバーではコントロールパネルで”phpMyAdmin”を利用できるので良かったのですが、問題は移行元の共有サーバーでは”phpMyAdmin”を自力でインストールしなくてはならず、とっても面倒でした。
“phpMyAdmin”のインストール作業に関しては、ネットを検索すれば山のようにヒットするので詳細は割愛しますが、ここでは個人的にハマったポイントを2点ご紹介します。
1点目は、インストールするバージョンです。ネットの体験談やレンタルサーバーに掲載されているマニュアルには、古いバージョンが掲載されているので、POOHもそれに倣って、わざわざ古いバージョンの”phpMyAdmin”をインストールしましたが、見事にうまくいきませんでした。(“phpMyAdmin”の画面が真っ白になりました。)結局、”phpMyAdmin”のサイトに掲載されている最新バージョンをインストールすることで正常に動作しました。これも動作環境などによって違いがあると思いますが、まずは最新バージョンからトライしてみるのが良いような気がします。
2点目は、”phpMyAdmin”の”.php”ファイルの属性をすべて”700″に変更する作業が気が遠くなる作業でした。Windows版のFTPクライアントアプリのなかには、”.php”ファイルの属性をすべて”700″に変更してアップロードするという便利機能を実装しているものがあるそうですが、POOHが使用したmacOS版のアプリにはそんな機能はなかったので、膨大な”.php”ファイルの属性を手作業で”700″に変更しました。この作業は二度とやりたくないですね。
2つあるWordPressサイトのうち、データベースが小さな方は自力で移行できたのですが、10年分の投稿データを保存しているこちらのサイトに関しては、DBデータをインポートしている間に止まってしまったり、
最終的にエラーになってしまったりしてうまくいきませんでした。
プロの移行サービスにまともに依頼すると最低でも3万円ぐらいするので、どうしようかいろいろ調べてみた結果、”ココナラ“というサイトで低価格な移行サービスをやってくれる方を見つけたので依頼することにしました。
依頼金額に関しては下図の通りですが、実際の依頼内容は個々に調整させてもらいました。
作業を依頼してから、中3日間で無事サイト丸ごと移行してもらうことができました。
ちなみに、作業をお願いした方からは、
「データベースの移行作業時には、一括でバックアップを取ろうとしたところエラーとなりましたので、テーブルを分割してバックアップし、移行先のデータベースへの復元の際にも、適切に移行させて頂きました。」というレポートをいただきました。やはり、餅は餅屋に限りますね。
< ネームサーバーの移行 >
“お名前.com”は、その名の通り、レンタルサーバー運用以外に、ドメインの販売・管理も行っています。
POOHは、”お名前.com”で現在のドメインを取得して管理をしてもらっているので、共有サーバーからレンタルサーバーに移行する際、ドメインの移行も”お名前.com”上で行う必要があります。
これから触れる内容は、”お名前.com”独自の機能に関することなので、POOHと同様、”お名前.com”上でサーバー移行を行う方のみ参考にして下さい。
“お名前.com”では、”ドメイン”と”レンタルサーバー”それぞれにドメインの移行に関する設定画面が用意されています。ただ、実際にはどちらの画面で設定すれば良いのかが分からず、サポートに問い合わせてみました。サポートの回答は以下の通りでした。
“ドメイン”の設定画面にある”お名前,comのネームサーバーを使う”を選択して実行すると、レンタルサーバー上に構築した”WordPress”サイトがインターネットから参照できるようになります。つまり、この画面を操作すれば、当該ドメインを扱うネームサーバーを切り替えることができるわけです。
一方、”レンタルサーバー”のドメイン設定画面にも、”ネームサーバーを変更する/しない”という設定項目があります。
< テスト環境から本場環境に移行 >
こちらで”変更しない”を選択して実行すると、ネームサーバーを変更せずに、移行用のテスト環境でWordPressサイトを構築できます。ただ、テスト環境はSSLを利用できないとか、専用の認証手続きがワンステップ追加になるとかという条件付きになりますが、本場環境ではないので安心して作業を進めることができました。
テスト環境で作業を完了したら、”本番URLへ公開”というボタンを押すだけです。
この後、ネームサーバーを変更して、ドメインがインターネット上に伝播されるのを待ちます。数時間の間は、断続的に以下のエラーが表示されます。
< JetpackとVaultPressを使っている場合は要注意 >
今回のように、一時的とは言えテスト環境と本番環境、あるいは移行前と移行後の本番?環境で、”Jetpack“と”VaultPress“を利用している場合は要注意です。
移行元と同じWordPress環境で”Jetpack“を同時に稼働させてしまうと、「これが(移行先のサイト)xxx(移行元のサイト)の完全な複製であることが認識されたため、jetpackはセーフモードになっています。」というエラーが移行先のWordPressで表示され、セーフモードを解除しないと”Jetpack“を介した”WordPress.com”のサービスが稼働しなくなってしまいます。セーフモードの解除は簡単ですが、間違った操作をすると新しい移行先のWordPressで”Jetpack“を新規契約する羽目になりますので、セーフモードの解除は慎重に判断しながら実行して下さい。
“VaultPress“は、移行先のWordPressサイトに移行するために、以下の設定画面でサイトへの接続方法を変更する必要があります。FTPは簡単ですが、お名前.comのヘルプページだけではSSHとSFTPの情報を把握しずらいので、移行作業に入る前にサポートに問い合わせるなどして技術的な情報を手元に用意しておいて下さい。SSHとSFTPのセットアップは敷居が高いです。
< コンテンツ表示の高速化 >
今回のサーバー移行作業で、ブログ記事のコンテンツ表示は爆速になりました。これは、専用のレンタルサーバーとSSDのお陰だと思います。
コンテンツ表示速度は、とても満足いくレベルだと実感していますが、折角、有料の”Jetpack“を契約しているので、パフォーマンスとスピードをアップするオプションを有効化しました。オプションのオン・オフで、どのくらい体感速度に違いが出ているのか、正直はっきりとは判断できませんが、当面の間、有効化した状態で様子をみようと思います。
< 実際に移行作業を行ってみて >
実際にWordPressサイトの移行作業を体験してみて、これから移行を検討する方たちが知っておいた方が良いと思われることを箇条書きでお伝えしておきます。
・WordPressサイトの基本構造は是非とも理解しておきましょう。
WordPressの移行を指南するサイトは沢山ありますが、そうしたサイトの内容に沿って作業をする前に、まずはご自身でWordPressサイトの基本構造を理解しておいた方が良いと思います。投稿した写真データはどこに保存されているのか?とか、投稿した記事はどこで管理しているんだろう?といったことを理解しておくと、その後の移行作業が断然楽になると思いますし、トラブル発生時にもユーザサポートに問い合わせしやすくなるはずです。
・WordPressサイト移行の肝はデータベースです。
データ量の大きさに係わらず、データベースの移行には”phpMyAdmin”の操作と、データベースに関するある程度の知識が必要です。体験値を高めるために自力でトライするのは良いことですが、何回やってもうまくいかない、あるいはエラーが発生する、といった状況になったら無理はせずに、POOHのようにプロにお任せするのがベストな判断です。
・かんたんお引越し機能で何とかなると思ってはいけません。
レンタルサーバー運営会社の多くが、かんたんお引越し機能あるいはサービスを前面にPRしています。確かに、簡単に移行できるに越したことはないですが、過度な期待は禁物です。なかには、お試し期間を設定している運営会社がありますので、実際、簡単に移行できるのか、まずは試してみると良いと思います。また、その際、うまく移行できなかった場合は、積極的にユーザサポートに問い合わせて、サポートの対応力を見極めておくのも良いと思います。
< 移行した成果について >
最後のまとめとして、サイトを移行したことで得ることができた成果をお伝えしておきます。
まずは何と言っても、サイト全体のレスポンスが見違えるほどの高速化を実現できました。これは、複数のユーザが共有しているハードディスクストレージのサーバーから、契約者専用のSSDストレージのサーバーにサイトを移したからです。サイトのコンテンツ表示がメチャメチャ早くなったのは勿論のこと、コンテンツの編集作業も快適になりました。また、共用サーバーの時は、とりわけ深夜にサーバーがダウンしたように見えることが多々ありましたが、専用サーバーに移行後はそうしたトラブルもなくなりました。こうした成果だけでも、サーバーの移行は意義があると思います。
更に、契約金額も大幅に削減することができました。なぜ安くなったのか、その理由は運営会社にしか分からないことですが、兎にも角にも利用料がお安くなったのは嬉しい限りです。
ということで、サイトの移行作業はそう簡単な作業ではありませんので、一定の準備と、場合によってはプロのアシストも必要になる作業ですが、思い切って実行した結果はとても満足できました。加えて、自宅にいる時間が増えたタイミングだったことも、面倒な作業を敢行する良い機会になったと思っています。
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