Raspberry Pi でミュージックやストリーミングを楽しむメディアサーバ “OSMC”を体験してみる
最近、ミュージックやストリーミングを楽しむメディアサーバをRaspberry Pi で構築する”OSMC (Open Source Media Center)“というオープンソースがあることをネットで見かけたので、どんなものなのか実際に体験してみることにしました。ただ、最初にお断りしておきますが、今回紹介する内容は実用的というより、ラズパイでもこんなことができるんだ!という、ある意味、電子工作的な驚きを感じることができる体験になります。それでは、”OSMC”のインストールからスタートし、”OSMC”で”Netflix“を視聴できるようにするところまで、順を追って説明していきます。
< ラズパイにOSMCをインストールする >
まず始めに、”SD Card Formatter“で”OSMC”をインストールするマイクロSDカードを初期化します。
続いて、”OSMC”を”OSMCのダウンロードページ“からダウンロードします。
試しに、MacOS用の専用インストーラーをリンゴアイコンの下をクリックしてダウンロードします。細かい説明は割愛しますが、今回は”Raspberry Pi 2/ 3″を選択し、次の画面で最新版の”OSMC”を選択、更に次の画面で”from an SD card”を選択したうえで、”OSMC”のダウンロードを開始します。
ダウンロードが完了したら、続いてマイクロSDカードに”OSMC”をインストールします。
インストール画面は表示されるものの、一向に実行を開始してくれません。何度リトライしても同じ状況なので、この方法は諦めました。
次に試したのが、”Raspberry Pi”アイコンをクリックしてダウンロードしたディスクイメージをマイクロSDカードにインストールする方法です。ダウンロードした”Raspbian“のディスクイメージをマイクロSDカードにインストールする手順と同じです。
“balenaEtcher“でダウンロードした”OSMC”のディスクイメージをマイクロSDカードにインストール。
あっという間にインストールが完了します。最初からこの方法でインストールすれば良かったです。
完成したマイクロSDカードをラズパイにセットして起動すれば、ラズパイ上で”OSMC”のインストールが自動的に開始されます。インストールの途中にWiFiネットワークとSSHの設定があります。SSHはマックなどと接続してコマンドを投入するので必ず有効にして下さい。それと、インストールの途中で日本語に設定すると文字化けするそうなので、最初のうちは英語のままにして下さい。
“OSMC”が起動すると、下の写真のような画面が表示されます。
“OSMC”周りの設定や操作は、基本、ディスプレイに表示されるリスト形式のUIで行いますので、最低でもキーボードを接続する必要があります。マウス操作も可能ですが、キーボード操作の方が断然楽ちんです。POOHの場合、下の写真のようなBluetoothキーボードを使っていますが、”OSMC”のUIで画面を遷移させる際は、上下左右の矢印キーでメニューを移動、バックスペース (戻る時に使用)、エンターキーあるいは”OK”キーで確定、という操作で支障なく操作が可能です。
それと、アイコンではなくテキスト表示のメニューを操作しますので、ディスプレイは最低でも7インチぐらいのサイズでないときついです。
< OSMCのメニュー項目で押さえておきたいポイント >
以下、箇条書き形式で、”OSMC”のメニュー項目で最低限押さえておきたいポイントを説明します。なお、表記は全て英語モードです。
・”Videos”
今回のように、ストリーミングサービスを利用する場合に使用するメニュー項目です。
・フォントの設定
“Settings”->”Interface”->”Skin”->”Font”で、””Arial”を設定しておけば日本語の文字化けはなくなります。なお、全体を日本語表記にしたい場合は”Settings”->”Interface”->”Regional”->””Language”で設定すれば良いと思います。(個人的には英語表記のままの方が気に入っているので日本語は試していません。)
・IPアドレスの確認
“Settings”->”System info”->”Summary”画面で、”OSMC”にアサインされているIPアドレスを確認できます。DHCPでアサインされたIPアドレスの確認に便利です。なお、”My OSMC”画面でIPアドレスの固定化にトライしたのですが、なぜかうまく動作しませんでした。
・”My OSMC”
“Settings”画面よりも更に細かな設定項目が用意されています。例えば、ネットワーク周りのカスタマイズやBluetoothの設定など。
・”Power”
ラズパイのシャットダウン、再起動などを実行できます。
< SSHでOSMCにログインする >
macOSなどのターミナルを使って、”OSMC”にSSH接続する場合、デフォルトのユーザ名 “osmc”を変更していなければ、以下のコマンドでログインします。なお、IPアドレスは、”Settings”->”System info”->”Summary”画面で確認できます。初期パスワードは”osmc”です。
ssh osmc@<ip address of your device>
< VNCでOSMCに接続する >
“VNC“で”OSMC”に接続したい場合は、”[HowTo] Install a vnc server on the Raspberry pi“に詳しい内容が掲載されています。確かに、VNCで接続できるようになりますが、あまり安定していません。
wget https://raw.githubusercontent.com/MarkusLange/VNC-Server-install-script-for-OSMC/master/osmc_vnc_install_cli.bash
chmod +x osmc_vnc_install_cli.bash
sudo ./osmc_vnc_install_cli.bash
< ラズパイでNetflixを観れるようにする >
“OSMC”で”Netflix”や”Amazon Prime Video”を視聴する場合、外部からアドオン用のZIPファイルをダウンロードする必要があります。なお、”YouTube”であれば、”OSMC”の”Settings”->”Ass-on browser”から直接セットアップができるようです。
始めに、”OSMC”の”Settings”->”System”->”Add-ons”画面に移動して、”Unknown sources”項目を有効にします。
SSH接続で”OSMC”にログインし、ターミナルで以下のコマンドを実行します。今回は”netflix-install-script“というインストール用のスクリプトを利用します。
curl https://raw.githubusercontent.com/zjoasan/netflix-install-script/master/netflix_prep_install.sh | sh
再び”OSMC”に戻り、”Settings”->”Add-on browser”画面に移動し、”Install from zip file”項目を選択した後、
“Home folder”->”addons”とドリグダウンし、
先程ダウンロードした”plugin.video.netflix.zip”を選択し、”OSMC”にインストールします。
インストールが完了したら、”Videos”->”Video add-ons”とドリグダウンし、”Netflix”項目をクリックすれば”Netflix”がスタートします。なお、初めてコンテンツを再生する際、”Widevine CDM“というモジュールのインストールが必要ですが、”Install Widevine”をタップすれば自動的にインストールされます。しばらく待っていれば、コンテンツを再生できるようになります。
< iPhoneアプリでリモコン操作する >
“OSMC”をキーボードで操作するっていうのも何なので、”Official Kodi Remote”というiOSアプリ (App Storeでダウンロードできます。)で、リモコン操作ができるようにします。
“OSMC”と接続するには、初期画面で”Add Host”ボタンをタップして、接続に必要な設定を行います。”Description”に”OSMC”サーバ名、”Host”に”OSMC”のIPアドレス (OSMCの”Settings”->”System info”->”Summary”画面で事前に確認。)、”port”に”80″ (HTTP接続なので。)と入力後、”Save”ボタンをタップします。
初期画面に追加された”OSMC” サーバをタップすれば、”OSMC”に接続できます。
“MOVIES”をタップ、
“Video Add-ons”から”Netflix”を選択すれば、”Netflix”を視聴できます。
ちなみに、映像はラズパイ側で再生されます。
リスト形式のメニューをドリルダウンする操作方法の他に、リモコン画面で”OSMC”を操作することもできます。
< コンテンツ再生時に音声も聴きたい >
これで、ラズパイで”Netflix“を視聴できるようになりました。とは言え、ラズパイ自身にはスピーカーが実装されていないので、以下の方法で音声が聴こえるようにしなくてはなりません。
・ラズパイの3.5mmイヤホン・ジャックに外部スピーカーを接続する。
・HDMI接続したディスプレイのスピーカーを利用する。
・ラズパイのUSBにUSB-DACを接続して外部スピーカーで聴く。あるいはUSB仕様の外部スピーカーを利用する。
・自分で電子工作する。
・ラズパイのBluetooth機能を利用してBluetoothスピーカーで聴く。
個人的には、最後のBluetoothによるソリューションがスマートかなあ、と思います。試してみたいという方は、”OSMC”の”Wiki”ページに掲載されている”Connecting A Bluetooth Device“の記事を参照下さい。
< OSMCの活躍シーンって? >
今回のTALKでは触れませんでしたが、”OSMC”で”YouTube”や”Amazon Prime Video”を視聴したい場合は、”ラズパイで「YouTube」と「Amazon プライムビデオ」を見る“という記事を参考にしてみて下さい。
さて、実際に”OSMC”を体験してみたわけですが、これってどんなシーンで利用するといいのかなあ?と思いますよね。正直言って、ストリーミングサービスを利用するなら、PCは勿論のこと、スマホやタブレットがあれば簡単に視聴できるので、わざわざ”OSMC”を導入する必要性はあまり感じないと思います。でも、もし使っていないラズパイが手元にあるのでしたら、”Fire TV Stick – Alexa対応音声認識リモコン付属“や”Fire TV Stick 4K – Alexa対応音声認識リモコン付属“、あるいは”Google Chromecast“の代わりになるんですよね。ラズパイとHDMI接続できるディスプレイやテレビと”OSMC”を導入済みのラズパイを接続すれば、ストリーミングサービスを楽しむことができます。ま、ひとつの選択肢としては、アリだと思います。お時間がある時にでも、一度試してみて下さい。手作り感のあるエンターテイメントの楽しみ方を是非ご堪能下さい。
|
|
|
ホームページ “THE POOH FILES”にも是非お立ち寄り下さい。
“Adobe Stock“でベストショットな写真素材を販売中です。是非ご覧下さい。