ヒコーキ撮影に欠かせないエアバンド受信機のあれこれを解説しておきますね “IC-R6” “DJ-X81”
“ALINCO アルインコ DJ-X81 エアーバンドSP + DEH17M ダイヤモンド ハンディ用アコースティックチューブイヤホン”
“ALINCO 広帯域受信機 ワイドバンドレシーバー DJ-X81の緊急地震速報”
“人気のエアバンド受信機 “アイコム IC-R6 エアーバンドスペシャル”を買っちゃいました“の続きです。
エアバンド受信機に関するTALKは随分昔に書いたのですが、航空祭が近づくと、その当時のブログ記事への検索が多くなる傾向にあるので、改めて、ここ数年の経験に基づく内容にアップデートしておくことにしました。
ちなみに、POOHは、エアバンド受信機を2台持っています。いずれも、所謂、ベーシックモデルです。
1台目は、”アイコム IC-R6 エアーバンドスペシャル” (以下、IC-R6)。大きな特徴は、航空無線関連の周波数がプリセットされているので、細かい周波数を現場でセットする必要がないこと、それとプリセットされていることで周波数のスキャンが高速という点だと思います。
もう1台が、”ALINCO 広帯域受信機 ワイドバンドレシーバー DJ-X81” (以下、DJ-81X)です。大きな特徴は、メモリ機能はあるものの、基本的にはテンキーで周波数をセットできるということと、緊急警報放送を自動的に起動し受信できる機能を実装している点だと思います。
(1) エアバンド受信機って、どんな場合に必要なのか?
そもそも論になりますが、エアバンド受信機は、どのような場面や場所で必要になるのでしょうか?
POOHの場合は、航空機の写真を撮るためにエアバンドを聞いています。ですので、以下の内容は、写真撮影の現場で、どのような時にエアバンド受信機なのか、個人的な感想をお話ししています。ですので、そもそも、航空管制のやりとりを聞いてみたい、という方は、場面を気にすることなく、ルールを守って、聞いてみて下さい。
それと、今回のTALKでは、基本的に、日本国内の諸事情を中心に話しを進めます。
<国内の航空祭で利用する場合>
・最初に断っておきますが、航空祭当日、エアバンド受信機の持ち込みを禁止している基地がありますので、事前に、ホームページ等で確認が必要です。
・国内の航空祭の場合、航空祭当日に、エアバンド受信機がマストかというと、それはNOです。理由はシンプルです。国内の航空祭で行われる飛行展示は、比較的小規模で、かつスケジュール通りにプログラムが進行するので、わざわざエアバンドを聴く必要がないからです。
・国内の航空祭の場合、写真撮影を含め、エアバンドを聴いていて楽しめるのは、ブルーインパルスの飛行展示ぐらいだと思います。
・国内の航空祭の場合、航空祭で行われる飛行展示で使われるエアバンドの周波数は、普段、飛行場で使われているものと異なることが多いです。ですので、もし、航空祭でエアバンド受信機を使うのであれば、現地で簡単な操作でスキャンできる受信機があると便利です。
<国内の飛行場で利用する場合>
・航空基地で戦闘機や軍用機等をスポッティングする場合、エアバンド受信機はマストアイテムだと思います。理由はシンプルです。基地内の様子は、一部の基地を除き、基地の外周からは分からないので、基地内の動きや航空機の離発着のタイミングを図るために、エアバンド受信機は重宝します。勿論、離発着する軍用機のスケジュール等は非公開ですので、エアバンドでタワーやアプローチ等とのやり取り聞いていれば、タイミングを逃すことは少ないと思います。
・空港の展望デッキ等で民間航空機をスポッティングする場合、エアバンド受信機は、基本、不要です。理由はシンプルです。民間航空機の場合は、フライトスケジュールが予め分かっているので、わざわざエアバンドでチェックする必要がないからです。エアバンド受信機より、iOSアプリ “Flightradar24 | Flight Tracker – Flightradar24 AB“を活用した方が、お目当ての航空機を探しやすいはずです。
とは言え、航空管制のやりとりを聞いてみたい、という方は、是非、エアバンド受信機を使って、個人で楽しんで下さい。
・民間航空機が離発着する空港であっても、小松空港や那覇空港のように、航空自衛隊や米軍が同じ滑走路を使用する共用の飛行場の場合は、エアバンド受信機はマストアイテムだと思います。
・原則、民間航空機しか利用しない空港であっても、政府専用機などの特別機をスポッティングしたい場合は、エアバンド受信機があると便利かと思います。
(2) どんなエアバンド受信機がいいの?
皆さんが一番気になるポイントは、まさに、どんな受信機を買えば良いのか、ということだと思います。
この疑問にお答えるできるほど、いろいろな受信機を使ったことはないのですが、個人的な経験を踏まえると、どのメーカーの製品であれ、ベーシックモデルで十分だと思います。いろいろな機能が実装されていても、
これまで、いろいろな飛行場でスポッティングを楽しんだり、国内外の航空祭、エアショー (詳しい実績は”こちら“をご覧下さい。)に参加したりしていますが、現在、所有している2台のエアバンド受信機で事足りなかった経験は一度もありません。ただ、エアバンド受信機を使う場面によって、”IC-R6″が良いのか、それとも”DJ-X81″の方が良いのか、多少、状況が異なるんだと思います。
<大抵の場合はプリセットされた周波数で十分>
・個人的には、9割以上の場面で、”IC-R6″ (エアバンドスペシャルというモデル)がベストなモデルだと思います。理由はシンプルです。各飛行場の主な”タワー TWR (管制塔)”や”グラウンド GND (地上管制)”の周波数がダイヤルに登録されているので、現場での操作が簡単だからです。仮に、周波数が分からなくても、プリセットされている範囲で、使用している周波数を高速にスキャンできる点も便利です。
但し、プリセットされた内容は決してパーフェクトではありません。例えば、羽田空港のB滑走路を担当するタワーの周波数はプリセットされていません。そういう場合は、ダイヤル操作や個別にメモリ登録すれば対応できますが、事、ダイヤル操作に関してはテンキー付きのエアバンド受信機と比べて操作が面倒です。
・経験的に、”IC-R6″であれば、軽量コンパクトで、バッテリーもフル充電で2日間ほど保つので、その点もメリットのひとつです。
<個別に周波数をセットする場面とは>
・那覇空港や悪天候等の場合を除き、民間航空機では殆ど行われませんが、航空管制のうち、GCA (Ground Controlled Approach)と呼ばれる着陸誘導の方式があります。とりわけ航空基地では、非公開の周波数を用いてGCAランディングを行う場合が多いため、マニュアル操作で周波数をセットすることになります。このような場面では、テンキー付きの”DJ-81X”などの方が操作が簡単です。
・日本の航空祭では、”IC-R6″にプリセットされている周波数以外を使って、飛行展示を行う場合があります。こういった場合は、広域な周波数をスキャンできる”DJ-81X”が便利な時もあります。とは言っても、特殊なケースを見越して、”DJ-81X”を購入するよりは、汎用性の高い”IC-R6″を購入した方が、個人的には良いのではないかと思います。
・ちょっとマニアックですが、エアバンドを聞いている人たちのなかには、航空管制とは別に、空港内で働いている方たちがやりとりする無線を聞いている場合もあります。その理由は様々ですが、例えば、夜間訓練の有無を探りたいとか、ですかねえ。そういうケースでは、プリセットされている周波数では対応できませんので、個別に周波数をセットする必要があります。
とは言え、どちらの機種も、個別に周波数をメモリ登録する機能がありますので、特殊な周波数は予め登録しておけば、どちらの機種でも然程の違いは感じないと思います。
(3) エアバンドの利用で気を付けておきたいこと
<必ずイヤホンを使ってエアバンドを聞きましょう>
・屋外でエアバンド受信機を使う場合、必ず、イヤホンを介して、やりとりを聞くようにして下さい。電波法第59条に抵触するから、という理由もあるのですが、それ以前に、他の人たちの迷惑になります。空港には、航空機を撮影する人たち以外にも、家族連れ、ツーリストの人たち等、大勢の方々が集まっています。そうしたなかで、自分だけの都合で、大きな音量でエアバンドを聞くのは、さすがにミスマッチだと思います。
どうしても、イヤホンなしで聞きたい場合は、ご自身の愛車のなかでお願いします。
<空港は公共の場だということを踏まえて下さい>
・空港の展望デッキや空港外周の公園等で、エアバンドを聞きながら航空機を撮影するのは、とても楽しくて、天気が良い日は気持ち良い体験なのですが、その場所は、自分だけのモノじゃないということを常に意識しつつ楽しみましょう。なかには、大きなカメラ機材を置きっ放しで、その場所を離れたりして、とにかく、その場所を占有するような行動は改めるべきです。とりわけ、小さな子供さんが来た時は、積極的に、その場所を共有するぐらいの大人の対応をしてあげて下さい。
航空祭の時は、滑走路に面したフロントラインを、皆さんで共有することは、公共の場において基本的なマナーです。早朝から並んだんだから、といった子供みたいな意識は捨てて、その場に集まった皆さんで楽しめるよう心掛けましょう。
・本来はやっちゃいけないことなのですが、とお断りしたうえでのことですが、家族連れ、とりわけ、子供さんが近くにいたら、小さな声で、もうすぐヒコーキが来るよ、とか飛ぶよ、と教えてあげては如何ですか?そうすることで、あなたのエアバンド受信機が、その場の雰囲気作りに一役買ってくれるはずです。
(4) エアバンドで流れるやりとりを理解する方法は?
エアバンド受信機を買ったはいいけど、航空管制のやりとりが専門すぎて分からないと思います。POOHもそうでした。
まずは、”エアバンドを聞いてみよう (国土交通省)“で、基礎的な知識をインプットしたうえで、
“まるわかりエアーバンド受信の教科書“といったムック本を、どれか1冊購入して、一通り読んで下さい。
後は、現場で、航空機の動きを実際に見ながら、エアバンドの内容と航空管制の実務を関連付ける訓練をして下さい。
その次は、聞き取り訓練です。最初のうちは英語が基本のエアバンドは聞き取りづらいと思いますが、何度も聞いているうちに、管制官とパイロットとのやりとりには一定のルールとパターンがあることが分かってきます。そこまで来れば、後は、いろいろな飛行場で、場数を踏めば、9割以上の内容は理解できるようになるはずです。
ちなみに、米軍基地等のエアバンドは、ネイティブな英会話が混じっているので、国土交通省管轄の空港に比べ、ハードルは高めかと思います。
以上、ざっとですが、エアバンド受信機のあれこれについてTALKしてみました。
エアバンド受信機は安いモノではないので、買った後、タンスの肥やしにならないよう、本当に自分に必要なアイテムなのか、いまいちど考えたうえで、購入した方が良いかと思います。ま、個人的な経験から言うと、ヒコーキが好きなら、エアバンドで航空管制のやりとりを聞くことで、更に面白さが増してくると思います。是非、マナーとルールを守って、エアバンドを楽しんで下さいね。
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