キャノンユーザのためのNikon デジタル一眼レフカメラ D500のススメ
”Nikon デジタル一眼レフカメラ D500 レンズキット AF-S DX NIKKOR 16-80/2.8-4E ED VR”と”Nikon 望遠ズームレンズ AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR”を使って、いくつか試し撮りをしてみたので、簡単ではありますが、使い勝手などをレビューしておきます。とは言っても、普通のレビューをいまさらしても面白みに欠けるので、D500が発売された以降、気になって仕方がないキャノンユーザのためのレビューにしてみました。ま、POOHのそのひとりなので。
a. D500のファーストインプレッションは軽い!!
普段、キャノンの”EOS 7D Mark Ⅱ“を愛用しているキャノン派のPOOHが、D500を初めて使ってみた時の率直な感想は、とにかく軽い!!の一言です。改めてカタログで確認してみると、7D MarkⅡ本体にEF24-70mm IS USMレンズを付けると、総量が1,420gなんだそうです。一方、D500本体にNIKKOR 16-80/2.8を付けると、総量が1,240g。いずれもバッテリーやメモリーカード等を除くカメラ本体とレンズの重量です。スペック的に見ても、D500の方が180g軽いわけですが、実際に数時間カメラを使ってみると、この数値の違いはかなり大きかったです。一眼レフカメラって、こんなに軽かったかな?と思いながら、最初の試し撮りを体験した次第です。
b. D500はランドスケープもマクロもきっちり撮れる安心感
POOHは、航空機以外にも、草花の写真を撮る機会が多い方だと思います。個人的な好みから、接写に近い画風を狙う傾向が強いんですが、D500と16-80mmのレンズで初めて撮った被写体が”開成町あじさい祭り“の紫陽花です。まずは接近戦から。
こんな感じの写真なら、とってもストレスなく気持よく撮影できました。同じ被写体を7D MarkⅡ本体+EF24-70mm IS USMレンズで撮ると、マクロのフォーカスが難しくて苦労した経験が何度もあります。
ホワイト系の被写体だって、これだけ接近してもボケません。これだけクリアな写真が撮れるのは、何とも心強い限りです。
上記の写真を含め、全てJPEGの撮って出しなんですが、いい感じでしょ。
ランドスケープな風景も、”P”設定のままで見たままの絵を撮ることができました。力を抜いて、周りの風景を思うのまま撮っても、奥行きのある綺麗な写真が撮れました。下の写真も全て、JPEGなんですが、敢えてRAWで現像しなくても、とっても発色の良い写真が撮れて満足。
c. 航空機写真
航空機と言っても、軍用機なんですが、”嘉手納飛行場”で、200-500mmの望遠レンズ(後述)を使って試し撮りしてきました。今回、初めて、ニコンの望遠レンズを使ったので、ここ数年使い慣れているキャノンレンズと比べ、直感的に画角を上手に調整できなかったので、サンプルの写真はごく平凡な内容ですが、実は、撮影当日のコンディションは最悪。豪雨と雷雨が入り交じるなかで、撮影した写真なんです。そういった悪環境下でも、そこそこの写真が撮れたことと、個々の写真をズームしてみると、ディテールもしっかり表現できていて、初めてにしては好印象でした。
D500の場合、連写のレリーズモードとして、低速連続撮影(CL)、高速連続撮影(CH)、静音連続撮影(QC)の3タイプからチョイスできるのですが、今回は大型機の離発着シーンということで、CLモードで撮影してみました。このモードですと、シャッターボタンを押しても、無駄に連続せずに済むので、こういったシーンの撮影には適していると感じました。それと、灰色の雲が背景の場合、いつもですと、露出補正を使っているんですが、今回はD500独自のアクティブD-ライティングという機能を使って白とびや黒つぶれを抑えるようにしてみました。比較は難しいですが、出来上がりの写真を見る限り、何もしないと機体が暗くなってしまうところを、うまく調整できているのかもしれません。
ただ、当日は戦闘機を撮影する機会がなかったため、エアショーで高速に移動する被写体を、どれほどフォローできるかは、別の機会に試し撮りしてみようと思っています。
d. 設定周りの使い勝手はキャノンの方が髪一重で上、但しニコンは今後のソフトウェア対応次第で逆転もあり?
7D MarkⅡオーナーなら、撮影時のクィック設定機能を多用していると思います。この機能があるお陰で、撮影モードを切り替えた前後に設定ミスすることもなくなり、しかも簡単にシャッター速度や露出などを画面を見ながら変更できるので、撮影時のストレスを大幅に軽減できます。
D500でも、この画面に相当するインフォ画面ってものが用意されています。でも、この画面を表示されるためには、ボタンを2回押さなくてはならず、しかもキャノンと違い、カメラの電源をオンした直後、この画面を自動的に表示するができません。更に、各設定値の変更は、画面から離れた場所に配置されているボタンとダイヤルで変更することになるので面倒。折角、D500ではタッチ操作をサポートしているんだから、ライブビューやプレビュー時だけじゃなくて、設定変更もタッチ操作を中心に行えると、このポイントで7D MarkⅡの使い勝手を超えられるかもしれませんね。こういった改良は、ソフトウェアだけでも実現できるはずなので、是非、次回のファームウェアのバージョンアップでサポートしてもらいたいと思います。
あ、そうそう、撮影時によく使う露出補正の操作なんですが、7D MarkⅡならクィック設定でOK。D500だと基本はボタンとダイヤルの操作で、ダイヤル操作だけで露出変更できる簡易設定も用意されているんですが、操作手順はいまひとつ良く分かっていません。マニュアルの記載がいまいち、っていうことなのか、POOHの理解力がいまいちなのか?
もうひとつのポイントがファインダー内の水準器の表示。
7D MarkⅡなら、一度設定してしまえば、常にファインダー内に水準器が表示されているので、とっても便利に利用しています。逆に、水準器が表示されないと、飛行場で離発着する航空機を水平に保って撮影することが難しくなります。つまり、航空機撮影にはマストな機能です。(かなりの速度で動いている被写体を追いながら水平を保つには、ファインダー内の水準器だけが頼りなんです。)
D500でも、ファインダー内に水準器を表示できるんですが、カスタムボタンの設定画面で、予めボタンを割り当てておく必要があります。割り当てたボタンを押せば、ファインダー内に水準器を表示できるんですが、カメラの電源をオフにすると、水準器が消えちゃうんです。これは不便極まりないです。やはり、次回のファームウェアのバージョンアップで改善してもらいたいです。
いずれの不満点も、ソフトウェアの範囲で対応できるはずですので、ニコンさんには是非対応をお願いしたいところです。そうすれば、キャノンユーザに対する撒き餌になると思いますよ、
e. 人気のニコン望遠レンズのサイズと重さには注意が必要かも
今回、航空機の撮影用に、定番の”Nikon 望遠ズームレンズ AF-S NIKKOR 200-500mm f/5.6E ED VR“も購入しました。キャノンの同等のレンズ(とは言っても、キャノンの方はLレンズなので製品のクォリティに差はありますが..)である”Canon 望遠ズームレンズ EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM フルサイズ対応 EF100-400LIS2“とカタログ上の重量を比較してみると、キャノンが1570g、ニコンが2090gだそうです。(ニコンは三脚座なしの重量ですが、キャノンはそのあたりの明記がないので、もしかすると、ここに記載した数値は多少正確ではないかも)ま、それにしても、ニコンの方が何と520gも重いんですね。ただ、POOHの場合は、”EOS 7D Mark Ⅱ“本体に、330g(バッテリー2個分の重量を含まず)の”Canon バッテリーグリップ BG-E16“を取り付けているので、実際のところ、あまり総重量の差を感じることはありませんでした。
それと、フィルターサイズが、キャノンが77mmに対し、ニコンは何と95mm。この差は、フィルターの価格に影響します。ニコン用として、今回、”Kenko レンズフィルター MC プロテクター NEO 95mm レンズ保護用 729502“を購入したんですが、アマゾンでも、77mmとの差額は5千円近かったので、個人的には正直動揺しました。
一番、差を感じたのが、レンズの長さ。左が今回購入したニコン一式、右側が7D MarkⅡに”Canon 望遠ズームレンズ EF100-400mm F4.5-5.6L IS II USM フルサイズ対応 EF100-400LIS2“を付けたところ。一目瞭然に長さの違いがお分かり頂けると思いますが、このサイズだと、普段愛用しているカメラバッグに入らないんですよね。なので、POOHの場合は、大きめのキャリーバッグに入れて移動することになります。勿論、ニコンでも、”Nikon 望遠ズームレンズ AF-S NIKKOR 80-400mm f/4.5-5.6G ED VR フルサイズ対応“という製品があるので、どうしてもサイズを優先する場合は、焦点距離を100mm分ショートするしかないかも。
f. ニコンのバッテリー充電器は改善の余地あり!
細かいところですが、ニコンのバッテリー充電器はダメダメです。左側がニコンのバッテリー充電器なんですが、ご覧のように、充電器本体とコンセント部がセパレートになっているので、旅行先に持っていく時に思いのほかかさばります。旅行の支度をする際、カメラ機材周りは、出来るだけコンパクトに身支度したいのに、この仕様のため、コンセント部分の収納に余計なスペースを消費することになります。何を細かいことを言っているの?って思われるでしょうが、機会があれば、一度、店頭などで実物を見せてもらって下さい。なるほど、と思って頂けると思いますよ。ま、販売する国によって、コンセント部分を差し替えるんだと思いますが、このようにパーツが分かれちゃうって、失くすリスクもあって、旅行者泣かせなはず。その点、キャノンのバッテリー充電器は、コンセントが充電器本体に収納できるので、とってもコンビニエンスです。
g. “XQDメモリーカード“はキャノンユーザにはハードルとなるのか?
D500は、XQDメモリーカードとSDカードのダブルスロットです。個人的には、”ニコン D500 完全ガイド“のレビュー記事を読んだ結果、手放しにはコストパフォマンスが良くなさそう、という感想を持ったので、現時点では購入を控えています。しかも、FXモデルの最強位機種でさえ、XQDと”CFカード“のチョイスがあるのに、DXモデルのD500がXQDを採用するとは、にわかには納得できませんよね。ま、技術動向的には、CF系だったらCFast、でもCFastは個人ユースには高額過ぎるということで、折角、ソニーと共同開発した遺産、いや資産があるし、D5の部品と共通化させればD500のコスト削減にも貢献するはず、という発想なんだと思いますが、それにしてもデファクトには到底なりそうもない技術要素をセミプロ機に採用する、っていうのは何とも不格好な経営判断だと思います。ま、とにかく、キャノンユーザがD500の購入を検討する際、XQDは邪魔な製品スペックでしかないと思います。じゃあ、なぜPOOHはD500を買ったの?ということなんですが、結局、そこで悶々としていても、素晴らしい可能性を持ったD500を使う機会を逸するだけ、という割り切りに他なりません。折角、D500は”SnapBridge“(残念なことに、iOSアプリは夏以降にリリース予定だそうです。)対応機なんだから、思い切って、SDカードとBluetoothによる写真転送(写真のファイルサイズは2MBになっちゃいますけどね。)、という部分を強調すれば、SDカードのシングルスロットでも良かったのでは?何でもかんでも、ハードウェア技術に頼る時代ではないと思いますよ。
h. 早々にSDカードエラーが発生してしまいましたが…
D500を使い始めて、2回目の旅行で、撮影している途中、まさかのカードエラーが発生してしまいました。カードエラーが発生してしまうと、SDカードに記録してある写真を再生することもできなくなりました。
勿論、電源のオフ・オン、SDカードの差し直しなどを何度もトライしてみたんですが、全く改善しません。ちなみに、カードエラーが発生した際、使っていたカードはこちらです。
当該のSDカードをキャノンのカメラとマック(PC)の両方で再生したところ、全く問題ありませんでしたので、D500固有の現象ということになります。同様の現象が発生することは、”価格.comのクチコミ“にも掲載されていたので、早速、ニコンのサポート窓口にWeb経由で問い合わせをしました。
で、回答は、
“添付していただいた画像を拝見いたしました。
お知らせいただいたメモリーカードは、弊社では動作の確認を行っていない
カードとなります。
他にメモリーカードをお持ちであれば、他のメモリーカードでの動作を
ご確認くださいますようお願いいたします。”という内容でした。
ちなみに、動作確認済のメモリーカードは、”どの XQD メモリーカードと SD カードが動作確認済みですか?“というページで確認できます。
今回使ったメモリーカードは、EOS 7D MarkⅡで愛用している製品で、個人的にも信頼している製品です。キャノンさんの場合は、SD規格に準拠するメモリーカードなら使えるという公式スペックなのですが、ニコンさんの場合は、SD規格であっても、自身で動作確認したメーカーの製品以外だと、何が起きても知りません、という何ともビックリするスタンスみたいです。
ま、どちらのスタンスも、メーカーさんの特徴が良く出た内容なので、それをもって、どうのこうのというわけではありませんが、このTALKでお伝えしたい点は、D500の購入を検討する際は、上記のページに掲載しているメーカーのカードを、まずは選択することがニコンユーザになる第一歩だということです。万が一、撮影の最中にエラーが発生して、しかも代替のカードもしくはカメラを持っていたい場合、とても悲しい思いをするのはユーザサイドですからね。POOHの場合は、これ以上、サポート窓口とやりとりしても仕方ないので、動作確認済のカードを泣く泣く購入しました。
それにしても、ニコンさんが推奨するメディアって、いちいち高額な商品ばかりですよね。(価格的に熟れていないってことは、製品的にも普及していないってことでしょ?)動作確認済みの”SanDisk Extreme PRO SDXCカード UHS-I Class10 64GB 95MB/Sec [国内正規品] SDSDXPA-064G-EPK2 [エコパッケージ]“が1枚、1万円弱なのに対して、Amazonで普通に人気の”【Amazon.co.jp限定】Transcend SDXCカード 64GB Class10 UHS-I対応 (最大転送速度90MB/s) 無期限保証 TS64GSDXC10U1E (FFP)“だと、1枚、3千円台。メモリーカードって、ある意味、消耗品なので、エコな価格で調達できるに越したことはないし、Transcend社製のSDXCカードはキャノンのカメラなら、一度もエラーになった経験もないので、是非、動作確認したうえで、ファームウェアでサポートできるように改善してほしいものです。
i. 個人的なまとめ
ハードウェアのスペックとしては、XQDを除き、素晴らしい一眼レフカメラです。まさに、ハード指向の強いニコンさんだからこそできた仕事の成果と言えると思います。EOS 7D MarkⅡのオーナーであれば、この製品はスペック的に、とても魅力を感じるはずです。だって、まるで7D MarkⅢですものね。連写性能はさておき、153点AF、高性能なISO設定、4K動画、チルト機構とタッチパネルなど、もしもキャノンさんが、このタイミングでMarkⅢを検討していたら、ほぼほぼ採用するだろうスペックが盛り込まれている製品ですからね。
但し、既にレビューで触れた通り、ソフトウェア面で改良の余地がいくつかあると思っています。それらの改良点は既に触れた通りですが、折角、ライブビューやプレビュー画面でタッチ操作に対応したわけですから、各種設定周りのタッチ操作対応、7D MarkⅡユーザにとっては極普通に使っているファインダー内の水準器の常時表示など、ファームウェアのバージョンで対応できるものばかりですので、今後はソフトウェアにフォーカスした改良を一日も早く実現してもらえると、キャノンユーザも余計なハードルを感じることなく、D500の購入を検討できるはずです。ま、もっとも、キャノンさんだって、7D MarkⅡの後継機の検討を行なっているでしょうから、コンシューマ機の上位機種でシェアを奪回できるチャンスは、そう長く続かないと思いますので、出来るだけ急いだ方がニコンさんにとって吉、だと思います。
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Trancendは台湾の安物メーカー。値段が安いのは単にメーカーのテストレベルが低く性能の悪い物も多く出荷されているから。要は安かろう悪かろう。SanDiskはテストレベルも高くそれが価格に反映されている。それも知らずに価格が高いのは普及してないからと言う考えは幼稚すぎ。我々業界の人間からしたら動けばラッキー程度のものでしかく、まあお金がないならどーぞレベル。キヤノンで動いてるのはその個体と偶々相性が良かっただけ。
キヤノンのメモリーカードって何使ってるか分からないんですよね(当社試験基準だけ)。それに比べたらまだ推奨としてメーカーを公開してる方が良心的じゃないですか?
メモリーカードは当然使用前にD500でフォーマットされたと思いますけど、キヤノン機でフォーマットしたものをそのまま使用したのでしたらそれはエラーの原因ですよ。
インフォ画面の表示なんかも設計思想の違いなんでしょうけどほぼ同じ内容が軍艦部にも表示されますし、わざわざバッテリー消費の激しい背面液晶で見ないといけない理由が分からないです。露出補正もわざわざボタンポチポチ押しながらとか時間かかると思うんですけど…
どうしても背面液晶でタッチ操作で露出補正やら設定を変えたいならD5500なんかおすすめです。
あとレンズですけどキヤノンの100-400と比べるべくなのはニコンではおっしゃってる80-400なので200-500はちょっとお門違いに思います。
200-500はサードパティの150-600あたりと対応するように作成されたものですのでこちらと比べるとなんとなく大きさ等一致すると思います。