キャノン “Wi-Fiアダプター W-E1″を使ってみました

8月下旬に、“Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 5D MarkIV”と同時に発表された“Canon Wi-Fiアダプター W-E1”を買ってみました。

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こちらの製品は、

「SDカードスロットに挿入することで無線通信を実現するWi-Fiアダプター。スマホアプリ「Canon Camera Connect – Canon Inc.(無料)」との連携により、スマホやタブレットでカメラ内のCFカードに記録された画像の閲覧・保存やリモート撮影、設定変更が可能です。ソフトウエア「EOS Utility」と連携すれば、パソコンからのリモート操作も行えます。IEEE802.11b/g/n(2.4GHz帯)対応。」

というもので、“Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 5Ds”や“Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 7D Mark II”で利用できるということで、たまたま手元にあったクーポンとポイントを使うと1000円引きで買えたので、物は試しということで予約購入してみた次第です。

Wi-Fiアダプター W-E1をEOS 7D Mark IIで利用するためには、”EOS 7D Mark II ファームウエア Version 1.1.0“でファームウェアをアップデートしておく必要があります。

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さて、それではセットアップしてみることにします。製品に同封の説明書を読んでみると、使用に関する注意事項とファームウェアのバージョンアップの記載はあるものの、セットアップに関する手順の説明が一切ありません。キャノンさんのHP上にも、取説的なページは見当たりません。ニコンさんの”SnapBridge – Nikon Corporation“の時もセットアップに苦労したけど、両社とも、製品購入時のユーザ対応を、一体どう考えているんでしょうね?少なくとも、キャノンさんの場合、カメラ本体とは別売のアクセサリーなんだから、同封のマニュアルに、対応するアプリ名とか、最初に触るべきカメラ側の設定メニュー名は書かなくっちゃ、だめだと思いますよ。

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ま、そんなわけで、ここからは手探り&自分自身の経験値を頼りに、セットアップしてみます。ですので、もしかすると、メーカーサイドが想定している内容とは異なる部分があるかもしれません。でも、現時点では、正しいセットアップ手順が、どこにも掲載されていないので、仕方ないですよね。

では。

こういう時は、最初、カメラ側の設定メニューをチェックするのが常套手段。ありました、カメラ側のファームウェアをアップしたことで、”Wi-Fi機能”という設定項目が増えていたので、こちらで設定を行なってみます。スマホとPCそれぞれの設定ができるみたいなので、まずは左側のスマホ(iPhone 7 Plusを使用。)を選択。

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今回は、EOS 7D Mark IIに装填したカードがWiFiのアクセスポイントになるはずなので、”カメラアクセスポイントモード”という項目を選択。

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んんん、このあたりからわかりづらいなってきたぞ。ま、無難に、”簡単設定”を選択後”OK”で先に進んでみます。

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下の画面に遷移するんですので、スマホ上で、WiFiのアクセスポイントを選択する設定画面を表示した後、下の画面に表示されている”SSID”を見つけて選択、その後、”暗号キー”を入力します。そうすれば、カメラとスマホが、WiFiで接続されます。

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で、画面上で説明している通り、スマホ側のアプリ(Canon Camera Connect – Canon Inc.)を起動します。

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スマホ側のアプリ(Canon Camera Connect – Canon Inc.)で、接続できるカメラの一覧リストが表示されますので、選択すれば、両機の接続が完了です。

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でも、その後、カメラの電源をオフにすると、WiFi接続が自動的に切れてしまいます。

じゃあ、どうするのかと言うと、一番最初にやったように、カメラ側の設定メニューから、”Wi-Fi機能”項目を選択し、スマホのアイコンをタップします。

すると、こんな画面に遷移するので、”設定の確認と変更”項目で、設定名を分かりやすい名前に変えておきます。

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以上でセットアップが完了です。

じゃあ、実際に使ってみましょう。

まず、カメラ側の設定メニューを表示して、”Wi-Fi機能”項目を選択します。

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スマホを選択します。

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“接続”を選択します。

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確認画面に遷移するので、”OK”を選択します。個人的には、この画面はいらないと思います。

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この画面に切り替わったら、

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スマホ側のWiFiアクセスポイントの選択画面を開いて、カメラ名をリストから選択します。

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その後、スマホ側のアプリ(Canon Camera Connect – Canon Inc.)を起動する、という手順になるようです。

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ま、正直。これを毎回やるのは面倒ですね。でも、WiFi接続方式なので仕方ないのかも?個人的には、”Bluetooth”方式の方が、毎回、面倒な操作を省けて良いと思うんですが、スマホ側でカメラのリモート操作ができるようしたかったんので、WiFi接続方式しか手段がなかったんだと思います。ちなみに、ニコンさんの”SnapBridge – Nikon Corporation“では、写真の自動転送だけなら”Bluetooth”、でも、リモート操作をしたければ、WiFi接続という、素人には分かりづらい設計をしてしまっています。これも個人的な思いですが、スマホでリモート操作なんか滅多にしないと思いますので、ここは、”Bluetooth”のみで、写真の自動転送だけに絞った方が、よほどユーザフレンドリーなんじゃないかと感じています。ま、両社とも、やり過ぎっていう感じがします。

以上が、スマホ(iPhone)接続に必要なセットアップ、続いて、PC(MacBook)接続に必要なセットアップです。

“Wi-Fi機能”設定画面で、今度は右側のPCアイコン(MacBookを使用。以前に”EOS Ulitity“をインストール済みであることが前提。)を選択。で、後の手順は、スマホとほぼ同じです。それと、カメラ側のセットアップ手順は、やはりどこにも記載はないものの、”EOS Utility”アプリ本体の操作方法は、”こちら“でマニュアルが公開されています。

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セットアップが無事終わったことを前提に、まずは、iPhone版の”Canon Camera Connect – Canon Inc.“の使い勝手などを見ておきましょう。初期画面には、3つのボタンが表示されますので、順番に実行してみます。

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<<< カメラ内の画像一覧 >>>

カメラに記録された写真が一覧リストに表示されます。

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そのうち、1枚を選択してみます。

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ポートレートでも、ランドスケープどちらでも表示できます。

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一番左下のアイコンをタップすると、スマホ側に写真が転送されます。

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さて、ここでも問題発生!

スマホに転送した写真をチェックしてみると、ファイル容量が183KBで、写真のサイズが1920 x 1280ピクセルしかありません。フルサイズとは言わないまでも、もうちょっとマトモな写真品質の状態で転送してほしいものです。(このあたりは、ユーザサイドで、いくつかの選択肢があった方がいいですよね。)

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オリジナルの写真は、ファイル容量が4.6MBで、写真のサイズが5472 x 3648ピクセルなので、どんだけ圧縮しているの?っていう感じです。こんなにクォリティを落とした写真をスマホに転送しても、SNSで共有するぐらいにしか使い道がなさそうですね。んんん、この機能を使うために、わざわざSDカードでのバックアップを犠牲にするだけの価値があるのだろうか?!んんん、製品の意図が掴めないですなあ。せめて、”SnapBridge – Nikon Corporation“で実現しているように、最小でも2MBサイズの写真を転送してくれないと… それと、肝心なことですが、写真の自動転送機能がないことが、この製品の致命的なところだと思います。手間をかけて、スマホに写真を転送する必要性って、どれだけあるんだろう??

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<<< リモート撮影 >>>

スマホの画面を使って、ライブビュー撮影するみたいな感じの機能になります。基本的な活用場面としては、カメラ本体は三脚などで固定しておく、という想定かと思います。どれだけの利用頻度があるのかは別として…

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一番下の設定ボタンは、切り替えることができます。

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“リモート撮影”機能で撮影した写真をチェックすることもできます。

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<<< カメラ設定 >>>

iPhoneから、こんな内容のカメラ設定を行えます。でも、これ、必要な機能なの?

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続いて、MacBook版の”EOS Utility”アプリ。

こちらは、マックを起動する都度、表示される接続状態の確認画面。この画面、カメラ本体との接続をしたくない時も、必ず表示されるので、正直、メチャメチャ鬱陶しいです。カメラ本体との接続をしたくない時は、毎回、”閉じる”ボタンをクリックしなくてはなりません。この仕様は、是非、改善してほしいものです。

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カメラ本体との接続が完了した後に表示されるアプリの初期画面は、iPhone版のそれと同じ。(文言は統一した方がユーザフレンドリーかと。)

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<<< 画像をパソコンに取り込む >>>

PC版は、一括転送(“自動取り込み開始”)と個別転送(“選んで取り込み”)の二通りの転送方法が用意されています。今回は、個別転送を試してみました。

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スマホ版と同じ写真を個別転送した写真をチェックしてみると、ファイル容量が3.9MBで、写真のサイズが5472 x 3648ピクセルでした。写真の大きさはオリジナルと同じですが、ファイル容量が小さくなっているので、画質のクォリティを落としているようです。PC版では、オリジナル写真と同じ内容で転送してほしかったなあ。

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<<< リモート撮影 >>>

レビューする時間がなかったので、こちらの機能については割愛します。

“カメラの設定”

PC版だと、これまで、SDカードやケーブル接続などで行なっていたデータの更新作業が、WiFi接続で出来るようなので、便利と言えば便利かも。ま、そもそも、Wi-Fiアダプター W-E1で、カメラ本体のSDカードスロットが占有されているわけだから、代替手段としてはアリかなあ?

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<<個人的なまとめ>>

・POOHのように、CFカードをメイン、SDカードをバックアップ(CFカードが一杯になったらSDカードに自動切り替え)という組み合わせで、EOS 7 D Mark IIを使ってきたユーザとしては、SDカードのスロットを使ったソリューションっていうところが、今更ながら引っかかります。WiFi機能をサポートしていないEOS 7 D Mark IIの延命策なのかもしれませんが、勝手な感想としては、この製品をわざわざ開発するんなら、一日でも早く、WiFi機能を標準実装したEOS 7D Mark IIIを市場に投入して欲しかった感じがします。それに、手元に残った複数枚のSDカードの使い道にも困るしね。やっぱり、中途半端感のある製品、っていうところは否定できないんじゃないかなあ。

・じゃあ、W-E1を活用する場面はないかと言われると、なくはないかも。例えば、POOHのようにCFカードをメインに使っているユーザにとって、CFカードに記録した写真を、出先でも、MacBookに転送できるのは有り難いです。というのも、外出先に、CFカードリーダーを持っていかなくても済むからです。やはり、最低でも、MacBookぐらいの画面で、撮った写真をチェックしたいですし、外出先でブログを書く時にも、スマホよりもMacBookの方が便利ですしね。一方で、自動転送機能がなくて、全て手作業で転送を行う必要がある点は、とっても残念です。手作業で写真を転送する手間をかけてまで、PCやスマホに写真を取り込む必要性が考えづらいですね。この点、キャノンさんは、この製品に関するマーケティングをどのように行ったのでしょうね?それと、スマホ版の場合、転送した写真のクォリティが低すぎて、活用場面がSNSぐらいしか考えにくいし、そもそも、この程度のクォリティだったら、スマホの内蔵カメラで撮影すれば、十分だと思いますしね。やっぱり、製品のコンセプトが中途半端なんだよなあ。

・写真の転送機能は、ギリギリ活用する場面を思い付く一方で、”リモート撮影”と”カメラ設定”って、使う人いるんですかね?”リモート撮影”だと、ネイチャーな写真家さんとか、天文写真とかで、使うんのかなあ?ま、利用するシーンがあったとしても、全体から見ると、少数派なような気がしますよね?

仮に、EOS 7D Mark IIの後継機種で、こういった機能を盛り込むとすると、写真の取り込み機能(自動転送はマストかな。)だけでいいんじゃないのかなあ?その時は、是非、”Bluetooth”連携をサポートしてほしいと思っています。だって、電源オンする度に、アクセスポイントを起動したり、スマホ側でアクセスポイントを選択するなんて、面倒の何者でもないですしね。そういう意味では、ニコンさんの”SnapBridge – Nikon Corporation“の方が賢いソリューションかも。(WiFiとのハイブリッドっていう点はイタダケませんけど…)

こちらが、”SnapBridge – Nikon Corporation“の設定画面なんですが、自動転送したい時だけオンにすれば、

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こんな具合に、自動転送済みの写真枚数がアプリのバッジで確認できるし、

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アプリを開けば、バッググラウンドで自動転送された写真を即、閲覧できちゃいます。やっぱり、ニコンさんの方が断然便利ですよね。(WiFiの方は不要だけどね。)

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ま、いずれにしても、WiFiの活用は、流行りだから外せない機能、というスタンスではなくて、ユーザ視点に立った機能なのかどうか、っていうところを、いま一度、検討した方が良さそうですよね。恐らく、アンケートをとれば、あるといいかも的な回答が集まるんでしょうけど、アウトドアで使う機会の多いカメラとの相性が良いのかどうかは大いに疑問ですよね。恐らく、多くのユーザが、スマホのカメラと一眼レフを使い分けていると思うので、それらを敢えて、一体化しない方が、むしろ、自然なアプローチだと思うんですが、如何でしょうか?一眼レフのカメラでしか撮影できない写真を、もっと上手に、スマホと連携する方式なりを、もっと真剣に社内で議論した方が良いと思います。

今回、個人的に残念に思った部分(機能の殆どかも)のうち、いくつかは、ソフトウェア的に改良できるはずなので、是非、早い段階で、少しでも良い方向にバージョンアップしてくれるといいかもですね。そうじゃないと、この製品、オークション行きになっちゃうかも。

ホームページ”THE POOH FILES”にも是非お立ち寄り下さい。

tomohiko

長年に渡りMacintosh向けの自作アプリを作り続けているPOOHです。最近はiPhone,iPad向けアプリ開発にも挑戦中。グルメ、旅行、露天風呂、写真、サイクリング、映画、STAR TREKが大好き。レトロでSFなおもちゃを大量にコレクション。プレーリードッグと同居中。

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1件の返信

  1. 松岡秀樹 より:

    買ってしまいました・・・
    先にこの記事を読んでから買うべきでした、私がやりたいのは撮った写真を自動転送だった、いやそれだけで良かったのですが、後の祭りでした。
    在庫切れだったので2週間前に注文して昨日入手し、今朝使ってみたら・・・・ん・・???wi-fi接続すると、カメラ側でシャッターが切れない????
    まさかと思いつつインターネットで調べてみると、この記事を見つけました、買う前に調べておけば良かったと後悔しています。
    ただ、多少希望は残っているようで、ShutterSnitchなるソフトを使えば自動転送ができそーな?感じなのですが、まだW-E1との組み合わせで使えたという記事が見つかっていません。
    無料か、数百円の安いソフトなら試してみようかと思うのですが、2千円以上するソフトを買ってダメでした〜はさすがに辛いので、躊躇しています。
    私の場合は7Dmk2で撮った写真をインスタグラムにアップしたいだけなんで、多少サイズが小さかろうがいいのですが、SDカードに記録はできないし(いつもはSDにjpg、CFにRaw記録)いちいちソフトを起動して転送しないといけないなんて・・・・代償が大きすぎます。
    もしいい解決方法をご存知でしたら、教えて頂ければ助かります。

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